手芸や裁縫の世界には、さまざまな技術や手法がありますが、その中でも本返し縫いは基本中の基本とも言える技術です。
本返し縫いは、布地同士をしっかりと縫い合わせるための方法であり、その美しさと強度から、裁縫のさまざまな場面で重宝されています。
また、学校では、本返し縫いのやり方を、小学5年生の家庭科の時間に習います。
本記事では、本返し縫いの基本的な手法から始め、初心者の方でも理解しやすいように解説していきます。
本返し縫いの特徴は?
本返し縫いは、強度が高く、ミシンがなくても丈夫に縫うことができる縫い方です。
そのため、洗濯頻度の高い小物作り(マスク)、バッグやズボンなど、厚手の生地を使用する場合などに活用することができます。
また、服の裾や袖口、布の端など、見える部分の縫い目をきれいに仕上げる際に重要です。
表側の縫い目は、ミシンで塗ったようなステッチになっており、裏側の縫い目は、重なって見えます。
半返し縫いとの違いは?
ここでは、本返し縫いと半返し縫いの用途の違いや、特徴についてお伝えします。
半返し縫いの特徴
半返し縫いは、糸を重ねながら縫っていく技法のため、比較的強度が強い縫い方となっています。
ただし、縫い目が重なる部分が、本返し縫いに比べて少ないため、強度は劣ります。
強度は、並縫い<半返し縫い<本返し縫い の順で強いと言えるでしょう。
そのため、薄手の生地や、伸縮性のある生地を縫いたい時などに活用することができます。
表側の縫い目は、なみ縫いのようなステッチとなり、裏側はの縫い目は、糸が半分ずつ重なったステッチになっています。
本返し縫いと半返し縫いでは、生地の表側から見た場合に下の写真のような違いがあります。
上 半返し縫いの表側(水色)
下 本返し縫いの表側(赤色)
また、生地の裏側からみると半返し縫いと本返し縫いでは下の写真のような違いがあります。
上 半返し縫いの裏側(水色)
下 本返し縫いの裏側(赤色)
本返し縫いで必要な道具
ここでは、本返し縫いを行う際に必要な道具をご紹介いたします。
本返し縫いに必要な道具は下記の4点です。
- 手縫い糸
- 普通地
- 手縫い針
- チャコペン(水やアイロンの熱で消えるもの)
糸や針は、生地に合ったものを選ぶようにしましょう。
チャコペンは、必須ではありませんが、真っ直ぐきれいに縫いたい場合に使用すると便利です。
玉結びのやり方
ここでは、玉結びのやり方について説明します。
どんな手縫いでも、最初に必要な技術になるので、必ず覚えましょう。
玉結びの手順は以下の通りです。
- 糸を人差し指に巻き付け、親指と人差し指をこすり合わせる
- 糸が集まった部分をつまみ、引っ張る
玉結びのやり方がわからない方は下記動画を参考に進めてみてください。
玉結びをスッキリ見せるコツ
縫い始めは、布の裏側や、表面から見えにくい縫い代などから針を入れ、目立たないようにしましょう。
本返し縫いのやり方
ここでは、本返し縫いの基本的な手順について説明します。
丈夫に縫う場合は2本取り、その他の場合は1本取りで縫い付けましょう。
本返し縫いの手順は以下の通りです。
1、糸の端に、玉結びをする
まず最初に、糸の端に玉結びを作ります。
玉結びのやり方が判らない場合は玉結びのやり方をご覧ください。
2、布の裏面から表面に向かって針を刺す
続いて、布の裏側から表面に向かって針を刺しましょう。
その際、指をケガしやすいポイントでもあるので、針で指を差さないよう注意してください。
3、刺した点からひと目戻って、返し縫いをする
次に、刺した点から右にひと目戻って布をすくい、すくった箇所から、ふた目進んだところに針を出します。
綺麗に縫うために、糸が出ている点と、針をさす点、針を出す点が一直線上に並ぶようにしましょう。
4、縫い始めの点に戻り、再び針を通す
次に、縫い始めの点に戻り、再び針を通します。
戻って針を出す、戻って針を出すを繰り返していきましょう。
表側で針目をひとつ戻って、裏側で針目をふたつ進むイメージで縫い進めてください。
5、縫い目の間に隙間を開けず、ミシンの縫い目のように縫う
縫い目の間に隙間を開けず、ミシンの縫い目のようになるように縫い続けます。
6、縫い終わりに、玉止めをする
最後に、縫い終わりには、玉止めをしましょう。
玉止め後に、ひと目縫うとほどけにくくなります。
玉止めのやり方が判らない場合は玉止めのやり方をご覧ください。
7、本返し縫いのやり方の動画
以下は、本返し縫いのやり方の動画になります。
玉止めの縫い方
ここでは、玉止めの基本的な手順について説明します。
玉止めの手順は以下の流れになります。
- 玉止めをしたい位置に針を当てる
- 糸を3回巻きつける
- 針をしっかり押さえつけ、きつめに巻き付けて根本まで引く
- 糸が集まった部分を親指で押さえながら、糸を引き抜く。この時、巻きついた糸が、布から離れないように注意する。(布から離れると、玉止めが浮いてしまう)
以下は、玉止めのやり方の動画になります。
玉止めをスッキリ見せるコツ
万が一、結び玉と布の間に余裕ができてしまった場合は、縫い目が緩むなどの不具合が出てくる場合があります。
その場合は、失敗した結び玉はそのままにして、最初に行った玉止めと同様に、針に糸を巻きつけ、親指でしっかりと押さえて針を引き抜きましょう。
本返し縫いを上手に行うポイントは?
本返し縫いを丁寧に行うためには、以下の4つのポイントがあります。
次に、それぞれについて解説したいと思います。
縫い目は等間隔にする
どの縫い方でもそうですが、縫い目がバラバラだと、見た目がきれいに見えません。
およそ、5mm〜8mm程度の縫い目を基準として、縫い進めましょう。
糸の引き加減を均等にする
糸をきつく引っ張りすぎると、布にシワが寄ってきれいに見えません。
本返し縫いの場合は、並縫いのように、縫い目をしごいてギャザーを調整することが難しいです。
その為、縫っている段階から、糸をきつく引っ張らないように注意しましょう。
縫い目の間が空かないようにする
針を戻すときに、縫い目の端をきれいにまっすぐ並ぶように刺すことで、見栄えがきれいなります。
針を刺す位置と、出す位置を揃える
真っ直ぐに縫いたい時は、針を常に一直線上に出し入れするように気をつけると、きれいに縫うことができます。
最初のうちは、チャコペンで真っ直ぐに引いた線の上を縫うのが良いでしょう。
チャコペンは、後できれいに見えるように、水やアイロンの熱で消えるタイプのものがおすすめです。
しつけ縫いを行う
本返し縫い以外の縫い方でも、綺麗に縫い付けたい場合は、事前にしつけ縫いをしておきましょう。
まとめ
本返し縫いは、手芸や裁縫の基本技術のひとつであり、しっかりと身につけることで様々な作品を作ることができます。
初心者の方でも、基本の手順をマスターすれば、美しい縫い目を作ることができるようになります。
ぜひこの記事を参考にして、本返し縫いでの裁縫を楽しんでください。